ガザ、西岸地区、アンマン 「国境なき医師団」を見に行く いとう せいこう

イスラエルでテロと紛争が始まったので、関連書籍を読む事にした。 他に読んだ2冊はイスラエル側からの意見だったので、 逆にガザ地区側から見た風景を見たいと思ったので、 この本を手にとった。

読んで思ったのは、国境なき医師団としても、 今のガザ地区を統治しているハマスを良く思っていないという所だ。 この本によると、 負傷者がでると、まず、ハマスが持っている病院に担ぎこまれ、 応急処置を受け、そこから、国境なき医師団の病院にまわってくるそうだ。 筆者はこれが、ハマスが力を示すためにやっていると批判する。 ウクライナ侵攻のルポ で、ロシアがウクライナの人に戦略的に年金を払い出しているようなものかなと思った。

また、イスラエル軍の方にデモに行き、銃で撃たれると、 ハマスから報奨金がでるという話だった。 日本でも、デモに行くと手当がでるんじゃないかという噂が出ていたが、 本場はレベルが違うなと思った。

一方で、エジブトで大怪我をした子供が、 先進的な医療を求めて、ガザ地区にある国境なき医師団の病院に来ているという話も紹介されており、 天井のない監獄と紹介されているこの地域のイメージがまた変わるなとも思った。

他に読んだ2冊は、「この件に詳しい俺様が説明してやる」という雰囲気があったが、 この本は、「本職でない自分が感じた事を書く(素人の方が本質を見れる)」という雰囲気がある。エッセー形式だし。 ○○に違いない、といった断定を避ける形をとりながら、読む人が真実であると受けとるように仕向けるのはちょっとズルいかな、と思った。

日本人としては、被害を受ける人が少なくなる事を願うばかり。