はじめに

私はキーボードを自作する時に、 主に手配線を良く採用している。 どうせ1つしか作らないからPCBおこすのもね、とか、形状の自由度、などが理由だ。

今回は、私の手配線方法を書いておきたい。

手配線をする場合の参考になると嬉しい。

我流なので、改善すべき所があれば教えてほしい。

写真の上下がひっくりかえってるのが多い。見にくくて申しわけない。

工具

tools

ハンダゴテ、ハンダ、ニッパーを使う。

ハンダゴテはgootのTQ-95を使ってる。 20年ぐらい前に買ったのをいまだ使ってる。 耐熱のキャップがついていて、熱いまましまえるのと、 スイッチを押すと一時的に出力が90Wになり、 コンセントを入れてから一瞬で使えるようになるのが気にいっている。

今、新しく買うなら温度調整機能があるものを買うと思うけど、 特に困ってないので、壊れるまでこれを使うと思う。

ハンダは、おもいっきり鉛が入っているのを使ってる。 こちらも使い切ったら、リードフリーのを買おうとおもってる。

材料

bom

プレートの他に、キースイッチ、ハンダメッキ線、1N4148を使う。

昔は、すずめっき線を使っていたが、ハンダメッキ線を教えてもらってそれを使いはじめた。 予備ハンダが不要になって、すごい便利になった。秋月でも買える。

あと、マイコン側の配線のために細い線もいる。

bom2

机の中からラッピングワイヤーがでてきたので、これを使う。 カラフルなやつの方が見やすいと思うけど、 一色しかないので、これを使う。

手順

配線を考える

今回はシンプルな6x4の格子配列キーボードを実装する。 プレートにキースイッチをはめて、裏から見るとこのような感じになっている。

plate

plate2

ここに、このように配線しようと思う。

schematic

赤が列の間の配線で、黄色が行の間の配線だ。 赤と黄色の交点はつながっていない。

ダイオードの足を切る

まずダイオードの準備をする。

diode

ダイオードをキーの数だけ数えて、足の片方をまげる。 ダイオードは極性があるので極性を揃える所に注意。

次に曲げた方の足を1-2mmほど残して切る。

diode2

キースイッチの足を予備ハンダする

ここからハンダゴテをつかっていく。

まず、キースイッチの足に予備ハンダをする。

予備ハンダは表面にハンダでめっきする工程で、 こうしておくと、次の作業がスムーズに進む。 また、手が2本の場合、3つの物を持つのが大変なので、 作業を分割するという意味もある。

pretining

私は、片手にハンダゴテ、もう片方の手でハンダをもってスイッチの予備ハンダを行う。

ハンダの中にはフラックス(やに)が入っていて、 これが蒸発する時に、ハンダが対象にくっつく。 良くくっついた状態をハンダに濡れると表現していて、 ハンダに濡れた状態になったら、ハンダは容易にはがれない。

ハンダゴテにハンダをあてると白い煙がでて、 フラックスが蒸発するが、これが全部蒸発しきってしまうと、 いくらハンダゴテをあてていても濡れない。 そのため、予備ハンダの時は、ハンダゴテの先にハンダをつけて持っていく形ではうまくいかず、 対象にハンダゴテをあてて、あたためてからハンダをつける必要がある。

ハンダの煙は有害と言われていて、吸煙器を使うべきと言われている。 私は害はそこまで気にしていないが、少なくとも吸いこむとケムいし、煙が目に入ると痛いので、 扇風機の風で顔の方にこないようにするぐらいで済ませている。

キー本体やプレートにハンダゴテをあててしまうと溶けるので、 押しあてないように注意する。

具体的な手順としては、

  1. ハンダゴテをキーの足にあてる。
  2. 一瞬まつ
  3. (コテではなく)足にハンダをあてる
  4. ハンダを離す
  5. ハンダゴテを離す

の順で行なっている。 足全体にハンダがついていて、爪ではがぞうとして取れなければ問題ない。

予備ハンダ前

before-pretining

予備ハンダ後

after-pretining

全部の足に予備ハンダをする。 だいたい、1本か2本抜けがあるので、確認する。

pretining-all

ダイオードを予備ハンダする

次に、ダイオードの切った足に予備ハンダをする。

pretining-diode

こういうのや、ケーブルの先などを予備ハンダする時は、ハンダゴテを机に置き、 ハンダをつける物を片手に、ハンダをもう片手に持って行なうようにしている。

クリップとかで固定してもいいが、キーの個数分おこなうのは面倒なので手で持ってやっている。

ダイオードは熱に弱そうなので、ちゃっちゃと予備ハンダをする。 ダイオード側は先端に近い所を持つと熱いので、ちょっと離れた所をもつ。

pretining-diode-all

キーにダイオードをつける

つぎにキーの足にダイオードをつける。

両方とも予備ハンダしてあるので、ハンダを持つ必要はない。 片手でダイオードをもってキーの足に押しつけて、 そこに反対の手でコテを押しあてる。

手でピーンってひっぱって、取れない事を確認する。

attach-diode

これを、キーの数ぶん行う。

attach-diode2

ダイオードの足を切る 2

このままだと足が長すぎるので、足を切る。 キーとキーの間に線をはわせる予定なので、その長さにする。

cut-diode

ダイオードに予備ハンダする 2

前の手順で切ったダイオードの足に、キーの足にしたのと同じ要領で予備ハンダをする。

pretining-diode3

列を配線

今回はハンダメッキ線を配線につかうので、 線に予備ハンダは不要だ。

すずめっき線や、その辺にあるハリガネで配線するなら、予備ハンダがいる。

線を片手でダイオードの先にあてて、 もう片方の手でハンダゴテをあてるだけでくっつく。

そのま線を、次の足の方にひっぱっていき、 ハンダゴテをあてる。という手順を1列くりかえす。

線を持つ部分がハンダする部分に近すぎると熱いので、 キー2つ分ぐらい離れた所を持って作業する。

wire-column wire-column2

行側の配線と干渉するので、あまり線が浮かないように注意。

wire-column3

すずめっき線の場合、先端を予備ハンダし、それを端のキーにつける。 長さにアタリをつけて線を切り、反対の端に予備ハンダして、キーにつける。 そうすると、線が保持されるので、 中間のキーにつけるために必要な予備ハンダをして、くっつける。

行を配線

列と同じ要領で行側も配線する。 あまりキーの足の根本で配線すると、列配線と干渉するので、 足の先の方にハンダづけする。

wire-row

ハンダ不良がないかどうか、線をひっぱってみて確認する。

マイコン用配線をつける

線の先を予備ハンダして、くっつける。

wire-cable

まとめ

手配線は面倒だから避けるという人がいるが、 やってみると意外と簡単にできる。 もっと手配線を使った変な形のキーボードが増えると嬉しいと思い、 この記事を書いた。

もちろんこの記事も手配線のキーボードで書いている。