Fiio M5
前振
前回、 KZのイヤホンを買ったので、それで音楽を聞いてみようと思った。 しかし、手元にある最新のオーディオプレイヤーはiPod shuffle(初代)だった。
このiPodは電源を入れるとギュルギュルというノイズが入って、 曲が変わるときも、FAT構造を舐めてファイルを読み込んでいるようなノイズが入る。 ZSTxは高音が良くでるイヤホンだが、こういうノイズは高周波の最たるものなので、 より気になるみたいだ。
そこで、新しいMP3プレーヤー(DAP)を買おうと思って調査した。
機種選定
音質の良さは買ってから自分で判断するとして、 色々機種を見たところ3種類ぐらいに分けられるという風に理解した。
1つ目はローエンド機種。機能としては、iPod shuffleぐらい。 機能は最低限。500円ぐらいからある。画面すらない物も多い。
2つ目はミドルエンド機種。機能としては、iPod classicとかiPod nanoみたいなの。 機種によって機能はどんどん盛られてく。1万円前後が多いかな。
3つ目はハイエンド機種。iPod touchを買う感じ。 Android搭載機が多いようだ。10万円ぐらいからで、上はいくらでもある。 オーバーキル感があるかなと思ったけど、 良く考えると最近はみんなSpotifyとかのサブスクで音楽を聞く人が多いから、 このクラスの需要は大きいのかも。
どれを買うか迷ったのだけど、ミドルエンドの買う事にした。
ローエンド機種で十分かなと思ったんだけど、 手元のmp3ファイルが40GBぐらいあって、 これが全部入ると嬉しいかなと思ったんだけど、 ローエンド機種で32GBを越えるSDカードを読める物が見つけられなかった。 そこにFAT32の壁があり、exFAT対応してないのだろう。
ハイエンド機種もいいかなと思ったんだけど、 Android搭載機であるなら、携帯として使えて欲しいけど、 SIMが差せる機種はほとんど無いようだ。
消去法で、ミドルエンドの機種を買う事にした。
ミドルエンドの機種もいろいろあるが、 聞いた事があるメーカーのということで、 FiioのM5を買った。
このM5は、最大2TBのマイクロSDカードをサポートしている。
使い勝手
音質
まずはmp3ファイルを再生してみた。 ぶっちゃけ俺には音質はよくわからないけど、 その辺のスマホに差した時のようなノイズは入らない。 さすがは専用機。
1つだけ残念なのは、曲のはじめとおわりで、 「ぷつ」という、アンプの電源が入ったような音がする事だ。 小さいノイズだし、曲がはじまる前なので、べつにいいと言えばいいのだけど。
連続再生していると曲の間で音がでるので気になる。 ギャプレス再生をするように設定したら ノイズがなくなるのではないかという説があったので、 試したが、ノイズの間隔が短かくなるだけだった。
この音は、ボリュームによらず一定の大きさのようなので、 外部にボリュームをつけたら改善されるのではないかという説を聞いたので、 外部ボリュームをつけて、音を絞り、本体ボリュームをあげたところ、 ノイズは聞こえなくなった。 使った外部ボリュームはこういうものを使った。
そもそも、DAPでボリュームを下げた場合、音質が劣化するのではないかという指摘をうけた。
私の理解では、それは回路による。 DACでアナログに変換する手前で、デジタル情報として音量を下げた場合(デジタルボリューム)、 その元データが0-65536で表わされていても、0-256の範囲になるような変換がされた可能性がある、 その場合は音質が劣化しているかもしれない。 一方で、DACがアナログに変換したあとに音量を下げる回路をつけた場合(アナログボリューム)、その劣化はない。
FiioM5がどちらなのかを調べるべく、オシロスコープをあててみたが、 ボリュームを下げた場合の信号が小さすぎて手持ちのオシロスコープでは測定できなかった。
測定できないような劣化しかないとも考えられるが、今後また調査してみたい。
外部ボリュームを使った場合は自明にアナログボリュームだ。
DACモード
この機種のすごい機能の1つにDACモードがある。 設定で、ストレージモードからDACモードに切り替えて、 PCに繋ぐと、オーディオデバイスとして認識されて、 それ経由でオーディオを送るとM5側のDACで音声が生成されて、 高音質で再生できる。
試しに、Debianで動いているメインPCに繋いでみたところ、 音が壊れて再生されてしまった。 送ってるサンプリングレートと、 DACが使ってるサンプリングレートが違っていて、 数百ミリ秒おきにバッファアンダーフローをおこしているかのような壊れ方をしていた。
困っていると、Fiio M5のファームウエアの最新版が出ているのを発見した。 ファームウエアを最新版にしてみると、正常に再生できるようになった。
PC以外にも、スマホに繋いで高音質で音出すのにも使えるかも。
Bluetooth
面白い事にM5はBluetoothで音を送る事も、 Bluetoothで音を受け取る事も両方できる。 両方同時にはできない(笑)
ただ、俺としてはこれはあんまり使い勝手がよく思えなかった。
BluetoothイヤホンとセットにしてM5から音送って使うとしたら、 DACはイヤホン側の物が使われるわけで、 M5から送ってもスマホから送っても、音質は同じになってしまって、 せっかくのM5のDACが生かせない。 同じならスマホでいい。 スマホ以前には良い機能だったと思うんだけど、 常にスマホを使ってる時代にはあってなさそう。
じゃあ、スマホからM5にBluetoothで音を送れば、 M5のDACが使えて音質が良いので良いはず。 ところが、M5のBluetooth音声受信モードは、 どうもUXが使いにくい、受信モードはモーダルなUIになっていて、 その間は何もできないし、 接続状況は画面じゃなくて、LEDの色で表示する。 どうも、後付けで適当に付けたんじゃないかと思わせるUXだ。
操作
操作体系がツリー上になっているので、 それが使いにくいと思う場面がいくつかある。
例えば、音楽を聞きながら寝落ちする事が良くあるので、 スリープタイマーをつける事が多い。 その場合は、再生中の曲からホーム画面まで移動して、 設定に入り、システム設定、スリープタイマーと降りていく必要がある。 設定後音楽を再生するために、またホーム画面まで上がり、 曲選択に降りていかないといけない。 そもそも、スリープタイマーは一度自動で電源を切ったあと、 またつけても、タイマーが有効な状態になるべきだと思うが。
これはソフトウエアで改善できる問題であると思うので、 今後に期待したい。
まとめ
今DAPをとりまく環境はスマホのせいで10年前と大きくかわってる。 一方で、スマホにイヤホン端子がなくなった今こそDAPが再発見されてもいいと思う。
DAPとして使う以外にもPC用DACとして使えるので、 スイスアーミーナイフとして、 良い音楽環境を準備するにあたってM5は一つの選択肢としてありかなと思う。